面白くかつ、職業を学べるマンガ

マンキツでたっぷり時間使って読みまくりたい。

日経プラス1 2013/12/28より。

重版出来!(じゅうはんしゅったい)/ 松田奈緒子


(1~2巻、以下続刊)

題名は販売好調な本の増刷分ができあがる、という意味。ベストセラーを送り出そうと奮闘する出版業界の人々の熱い仕事ぶりが描かれる。主人公はケガで柔道を断念した体力自慢の熱血女性。出版社へ就職し、マンガ編集者として成長していく。ともすれば編集と営業など異なる部門間での対立が起きやすい場面でも、人とつながり影響し合ってよりよい仕事をしていく姿は様々な職場で参考になる。
 出版業界の内幕を描く漫画は比較的多い。だがこの作品は主役の編集者にとどまらず、漫画家や出版社の営業社員、書店員など、漫画の制作から販売に至る、すべての仕事を丁寧かつドラマチックに描き、他と一線を画す。インターネットの交流サイト(SNS)を通じた編集者・漫画家と読者との対話のあり方や、過去の作品の電子書籍化を巡る曲折など、出版業界の最も旬な話題も作中にしっかりとちりばめられている。
 「編集者や宣伝マン、書店営業など出版社の裏方たちの奮闘を描く。仕事に対する姿勢がまっすぐに前向きで、正面から胸を打たれる熱血作」。「暑苦しいまでの仕事への情熱がビシビシ伝わる。体育会系の女性編集者を主人公としたところが大ヒットの要因」




宇宙兄弟 / 小山宙哉

(1~22巻、以下続刊)

幼いころの体験をきっかけに星空への憧れを抱き、ともに宇宙を目指そうと約束した兄弟の物語。成人して約束通り宇宙飛行士になった弟に対し、兄は自動車開発会社をトラブルで辞めて無職となってしまった。たくましく成長した弟に当初は嫉妬を抱く兄だったが、やがて弟の後を追うように自らも宇宙飛行士の道を歩み出す。
 訓練の様子などがリアルに描かれると共に、過酷な訓練を乗り越えて心身ともに成長を遂げる兄と、その後に大きな挫折を経験しつつも再起を図る弟、そして2人を取り巻く様々な登場人物の姿を通して、憧れの対象である宇宙飛行士の職業としての実相が浮かび上がる。
 「名言の宝庫といわれるほど、作中の随所に読者を引きつけるセリフがちりばめられている」、「宇宙飛行士になる過程が丁寧に描かれている」

グラゼニ / 森高夕次(原作)、アダチケイジ(画)

(1~12巻、以下続刊)

主人公はプロ野球選手で徹底的に年俸にこだわる、類例のない野球マンガ。題名は「グラウンドには銭(ぜに)が埋まっている」という作中のキーワードによる。会社員にも冷静な自己評価など、学ぶところもありそう。一見華々しい世界に身を置きながらも将来が不安な選手の内面を追う。

大東京トイボックス / うめ(小沢高広・妹尾朝子)

(1~10巻)

東京・秋葉原に拠点を置くゲーム制作会社を舞台にした業界の群像劇。仕事は精神論だけでは乗り越えられないがときにそれも必要。情熱を忘れかけた時に、ガッツリ読みたい。大好きなことを職業にしたときのうれしさと苦しさ、業界の光と闇を垣間見られる。

夏子の酒 / 尾瀬あきら

(新装版、1~6巻)

亡き兄の遺志を継ぎ、実家の造り酒屋でひたむきに日本酒造りに取り組む女性を描く。酒蔵での様々な工程と苦労、原料の酒米の栽培の難しさなど日本酒通もうなる知識が満載。伝統産業で奮闘する主人公、夏子の姿に勇気づけられる。地域産業や農業問題といった社会問題は現在にも通じていて考えさせられる。

とろける鉄工所 / 野村宗弘

(1~10巻)

町はずれの鉄工所で働く溶接工と、その妻や子どもの日常生活の物語。自身も溶接工として働いていた作者の経験に裏打ちされたリアリティーは異彩を放つ。なじみの薄い人が多い溶接工の日常を垣間見ることのできる一冊。

働きマン / 安野モヨコ

(1~4巻、以下続刊)

出版社を舞台に、寝食を忘れて猛烈な勢いで働く雑誌の女性編集者が主人公。彼女の周囲には異なる価値観を持つ人物も集まり、それぞれの視線を通じて働くことの意味を問い直す。働く女性のバイブルといっても過言ではない作品。

鈴木先生 / 武富健治

(1~11巻、「外典」1冊)

常に全力で生徒らに向き合う中学校教師。学校に限らず先生と呼ばれる職業の人には読んでもらいたい一冊。